リチウムイオンバッテリーの火災について!火災種別は何か?A火災?B火災?

Firefighting in Japan

近年、リチウムイオンバッテリー(リチウムイオン電池)は
スマートフォンやノートパソコンなどの電源として広く用いられており、
リチウムイオンバッテリーに起因する火災件数は増加傾向にあります。

NITEによると2014年は98件でしたが、2019年には231件にまで上昇しています。

今回はリチウムイオンバッテリーが燃えてしまった場合、
火災種別はどれに該当するのか、また、
どのような消火器を選定すべきなのかを解説します。

 

火災種別の確認

まず火災種別について確認をしておきましょう。
アメリカの火災種別で確認していきます。

アメリカの火災種別についての規定は、
主にNFPA(National Fire Protection Association)によって示されています。

アメリカの火災種別
Class A Fires:木材、紙、布などの固体可燃物が燃える火災(日本のA火災に相当)
Class B Fires:可燃性液体やガスが燃える火災(日本のB火災に相当)
Class C Fires:電気設備や電気機器が関与する火災(日本のC火災に相当)
Class D Fires:金属(マグネシウム、アルミニウムなど)が燃える火災(日本では特別に分類されないことが多い)
Class K Fires:植物油、動物油、脂肪を使った調理機器(主に厨房火災)

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電解液について

電解液については、
消防法でいうところの
危険物が使用されています。

使用されているものについては
以下のとおり。

炭酸プロピレン(危険物第4類第3石油類)
炭酸ジメチル(危険物第4類第1石油類)
炭酸メチルエチル(危険物第4類第2石油類)
炭酸ジエチル(危険物第4類第2石油類)
炭酸エチレン(危険物第2類、常温で固体)

リチウムイオンバッテリーを製造している
各企業、配合比にノウハウがあるようです。

これらに、電解質(溶解させて電子の異動を
促進させる物質)を加えます。

電解質について

電解質を確認すると
「溶解して通電性のある化合物」
ということが言えます。

六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)
というものが多く使われています。
電解液で溶解してリチウムイオンを放出するので、
移動するリチウムイオンを補う役割をします。

アメリカの火災種別の分類について!日本とのちがいとは??

リチウムイオンバッテリーで考えると

リチウムイオンバッテリーの火災について考えてみると、
火災種別でいうところの
Class A Fires (普通火災)や
Class B Fires (可燃性液体火災)に該当し、
複数の火災種別にまたがると考えられます。

これはリチウムイオンバッテリーの火災が、
電池内部の電極などが高温で化学反応を起こし
発火の要因となることや、
電解液が可燃性のために電池外部に
漏出した場合は Class B Fires に
該当する場合もあり、
また外部のプラスチック外装などの可燃性物質の燃焼も
考慮すると Class A Firesの要素も含まれることになります。

Class C Fires (電気火災)について考える場合は、
短絡に起因し通電している箇所を
消火する場合が考えられますが、
バッテリーの短絡は内部で発生するため、
内部まで消火薬剤が作用しない場合においては
電気火災の消火とは言えないため、
Class C Firesの消火に該当せず 、
結果としてClass A Fires や Class B Firesの火災に該当するという
ことが言えます。

対応する消火器は?

前述した内容により、
Class A Firesと Class B Fires(A火災とB火災)
対応できる消火器が適していると言うことができます。

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