こんにちは!
元消防士YouTuberのKIYOYUと申します。
今回は、火災原因調査の現場調査である、
「発掘作業」に焦点を当てて説明していきたいと思います。
火災により燃えた家屋は、
天井や壁、床の所々が焼け落ち、
炭化した木材などからは
独特な匂いがします。
また、火災後の現場は、
床から水蒸気も出ており、
少し暖かいような、熱のこもった空間で
発掘作業を始めていきます。
何が言いたいかと言うと、
火災調査は、
鎮火してから
なるべく時間が経たないうちに
素早く着手しなければならないと
いうことです。
まだ現場に
火災原因の手掛りが残っているかも
しれません。
時間が経てば経つほど、
火災現場の状況も変化して
しまいます。
仮にガソリンを撒いた
放火であったなら
ガソリンなどの危険物から
発せられる、油脂反応も
時間の経過とともに
採取できなくなります。
また
水を含んでいた
屋根や柱も乾燥し始め、
崩れやすく危険な状態になる
ため、調査も火災から
数日経過した後には
できなくなります。
現場での火災調査は
スピード勝負なんですね!
【火災原因調査】調査書類を作成するときのポイント【注意点】忘れがちなこと。
発掘要領
私の勤めていた消防本部では、
発掘作業を
通称カッパギと呼んでいました。
正式な呼び方ではないので、
参考までに。
発掘は、
焼損状況や、関係者からの情報
を踏まえた上で、発掘する範囲を
決めてから始めます。
出火室において、
発火源となり得る全ての
火源について検討を進めて
いきます。
注意点
発掘作業自体は、
やり直しができない破壊も伴うため、
慎重に実施することが大切です。
この時、原則は「素手」で
実施すること。
スコップやちりとり、
熊手を使って
掘ってしまうと
床を傷つけたり、
埋もれた配線に
引っかけて
断線させてしまう
ことに繋がります。
もちろん床を傷つけないよう、
丁寧に使う分には構いません。
段階的に発掘し、
最終的には床の焼け跡も見たいので、
床に何も無い状態にします。
場合によってはバケツに水を
汲んできて流したりもします。
製品火災が疑われる場合
例えば空気清浄機などの電化製品からの出火、「製品火災」が疑われる場合は以下の点に注意します。
・発掘された「場所」
・「使用状況」と「接続状況」の確認
・周囲にある「可燃物」
製品火災の調査の進め方
確認するポイントは以下の通り。
・通電の立証
・使用の立証
・安全装置の有無
製品の特定
・機種名
・製品名
・型番
・製造年月日
・製造番号
・販売の期間や台数
通電の立証
電源コード等のコンセント接続状況などを確認することが重要です。
使用の立証
電源コード等がコンセントに接続されており、電源のスイッチがオンになっていることを確認します。
安全装置の有無
関係資料や、基盤にあるヒューズの状態を確認します。
その他
鑑識にあっては、同型品を用意しそれを並べて比較することも有効です。
同型品と焼損品を同じ向きで並べて写真を撮るようにします。
必要に応じて短冊サイズに切ったホワイトボードシートなどを使用すると便利です。百均でも売っています。
ホワイトボードシートには「同型品」、「焼損品」などと書きこみ、
写真撮影の際に、物品にそれぞれ添えて写真を撮ります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
火災調査は、報告書の作成がゴールですが、
現場調査の中で、根拠立ての材料を
よく考えて集めなければいけません。
後戻りできない部分がありますので、
発掘の際は、視野を広げて、
色々な可能性を考えながら
発掘作業を進めていただければと思います。
コメント