今回は、
木材に焦点を当てて
燃え方のプロセスを確認していきます。
棚や机、テーブルなどの家具は木材で
作られていることが多く
木材の類は、
「焼け方」を確認する上で
基本中の基本と言えます。
焼け方の強弱
火災現場において
燃えた木材をよく見てみます。
木材は、少しずつ熱を加えていくと、
温度の上昇とともに状態や形状が
変化していきます。
焼け方が弱い方から順に、
↓
焦げ
↓
炭化
↓
剝離
↓
焼失
上記のような
焼け方のプロセスを
たどります。
「炭化」具合のレベルについて
炭化については
以下のように表現します。
•溝の深さ(浅い→深い)
•凹凸(小さい→大きい)
イメージしてもらうと分かると思いますが、
燃焼が進めば進むほど、
木材の形はデコボコしていきますね。
⇩
⇩
「炭化」の表現について
炭化した木材の表面は、
大体の場合、「炭化模様」と
表現します。
また、別の表現で、
「魚の鱗」や「亀の甲羅」とも
見られるので、
文章上で
「鱗状の炭化」や
「亀甲模様」とも表現
することがあります。
実況見分などの文章を作る上では
どの表現を用いても構いませんが、
一度使った表現は
固定して使うようにしましょう。
その方が文章に締まりがありますし、
信頼に足る文章となります。
何より読み手に対して
調査書類全体が
まとまっているという
印象を与えられます。
そして、
「炭化模様」で表現される
溝の深さや幅などは、
文章の中で、
焼け方の強弱をイメージし
判断する基準にもなりますので、
しっかり表現できるように
意識していきましょう。
人為的なもの、自然でできたものには注意
木材を見る上で
人為的に発生したものか、
自然に発生したものなのかを
しっかり区別する必要があります。
木材を見てみると、
自然の温度変化などで生じる「亀裂」、
経年による変形防止などのため、
最初から人為的に入れる「背割り」などが
あります。
燃焼による「溝」は亀甲模様となり、
自然環境下などで出来る「亀裂」や
人為的な「背割り」は直線的となる特徴が
ありますので、
火災現場では、
これらを明確に識別することが
大切です。
「焼失」具合のレベルについて
次に「焼失」について確認していきましょう。
焼失の焼け方のプロセスとしては
以下のように表現します。
↓
大半焼失
↓
完全焼失
さらに細分化する「部分焼失」のレベルについて
「焼失」のうち、
「部分焼失」(※)については
以下のように
段階分けできます。
↓
焼け切れ
↓
焼け抜け
焼け細りとは、木材の角の一部などが燃えてしまい、
細くなった状態を言います。
例えば柱で考えると
柱の四つ角のうち、
ある部分が燃えてしまえば、柱自体は細くなってしまいますね。
焼け切れとは、
燃え細りが進行して
部分的に切れた状態を言います。
こちらは前述した焼け細りがさらに進行して、
一部が切れてしまった状態です。
焼け抜けとは、
天井や床板が部分的に焼けてしまい、
その部分が炭化から灰化にまで至って、
焼失してしまった状態を言います。
例えば、
イメージしてもらえば分かると思いますが、
もし自身が2階にいる状態でしたら、
2階の床の一部が焼け抜け
1階の部屋まで見降ろせるような状態のことです。
「剥離」における注意点
梁などの炭化模様が落下することを
「剥離」と言います。
燃焼が強ければ剥離部分が深くなります。
•燃焼による剥離
•消火水による剥離
•接触剥離
剥離は消火時の放水圧でも生じるので、
「燃焼による剥離」か、
「消火活動による剥離」かを
しっかり区別しなければなりません。
また消防隊員による
「接触剥離」にも注意が必要です。
消防隊員が建物内で
活動するわけですから、
消防側が気をつけていても
多少身体が触れてしまうことも
あります。
手が触れたり、
空気呼吸器が
当たってしまったりと、
燃焼によらない
剥離もあることは
考慮します。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は木材をテーマに表現方法を学びました。
基本的な内容でしたが、
多様な火災現場での調査活動に
応用していけるように
努めていきましょう。
コメント