通知
消防と警察は火災調査に際し、
相互に協力しなければいけません。
消防は「予防」、警察は「事件性の有無」の観点から、
お互いの目的は違いますが、
現場での火災原因の調査を合同で行い、記録をとります。
平成15年6月18日に、消防庁より通知も出ております。
1 消防庁は、消防法第35条の3の2に基づき消防庁長官が行う火災の原因調査 (以下「長官火災調査」という。)を行う場合には、その旨を警察庁及び現地消防本部に通知するものとする。
この場合、警察庁及び現地消防本部は、それぞれ火災発生地を管轄する都道府県警察本部に対し、その旨を通知するものとする。
2 警察と消防は、長官火災調査を行う場合において、当該火災に係る捜査及び火災の原因調査の実施に当たって相互に協力するよう努め、相互協力に関し、支障が生じた場合は、必要に応じ、警察庁と消防庁が相互に調整を図り、都道府県警察本部及び現地消防本部等関係機関に対して指導するものとする。
3 警察庁及び消防庁は、それぞれ関係機関に対して、上記1及び2の内容につい て周知を図るものとする。
とあるように消防は警察と、
調整を図りながら現場調査を進めます。
ただこの通知は原則として出されているものですので
消防本部内ではすでに警察と合同調査をすることを念頭に置き、
警察と電話連絡を取り合い
時間や段取りを調整したのち、現地合流をします。
なお、警察が必ず火災調査に来るわけではありません。
規模の小さい火災、原因が明確であれば
警察が来ない場合もあります。
現場調査
二度手間を避ける
今回は、私が火災調査において感じた注意点を具体的に話します。
消防と警察は目的は違えど調査の流れは大きくは変わりません。
むしろ関係者からの事情聴取であったり、火災現場の発掘作業、写真撮影などやるべき事はほとんど重なります。
人定をとる
出火建物の居住者、通報者や、火災の一部始終を目撃した人物などから
住所、氏名、電話番号、職業などを聴取し、その後に火災を発見した経緯、当時の状況を聴取します。
効率的に進めるために、
大体の場合
「免許証お持ちですか?」と聞いて
免許証を借用しメモを取ります。
その際、警察も居れば声を掛けて一緒にメモを取ってしまいます。
出火建物の居住者などは、
火災発生に落胆し、疲弊している場合もあります。
負担を減らすためにも警察、消防が同時に情報を聴くように配慮します。
写真を撮る
写真撮影も人定と同様です。
発掘する順序、流れに沿って警察と消防が足並みをそろえます。
発掘作業は火災の規模にもよりますが、
警察、消防双方の人員を増強して作業を進めるので大掛かりな作業となることもあります。
物をどかす→泥や砂を払う→水で流す
一例ですが、
畳やフローリングの焼け跡を見たいので、こういった流れで発掘を進めることもあります。
写真撮影も
物をどかす前にパシャリ。
どかした後にパシャリ。
水を流し終えてパシャリ。
というように、作業の流れに沿って
警察の調査員と同時に写真を撮り進めます。
もちろん、警察と同時作業にならない部分は、自分のペース、
なるべく撮れるタイミングで
可能なだけの範囲は撮影してしまいます。
調査が進めば、それだけ火災発生当初の状態から遠ざかってしまいます。
人が集まる前に、
人の手が加えられる前に、
撮れる場所は出来るだけ撮るべきです。
多過ぎたら後で消せば良いのです。
まとめ
火災原因調査は、残渣物から原因を探り、
火災発生の根拠を特定する重要な業務です。
現場の状況、科学的根拠に基づく判断から導くため、
強引なこじつけは通用しません。
あらゆる可能性を考える業務なので
頭を使いますが非常にやり甲斐のある消防業務だと思います。
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