「鑑識」ってナニ?【火災原因調査】基本を再確認

火災原因調査

消防で言う「鑑識」とは、

出火原因に関係する焼損物件等を現場で収去し、

その物件に出火要因と認められる特異な焼損状況があるのか?

実体顕微鏡などの鑑識資機材も使用し詳細に見分した上で、

これらの観察結果を客観的事実として記録し、

出火原因の判断資料とする業務のことです。

今回は鑑識の対象や流れを具体的に解説していきたいと思います。

鑑識に該当する火災の例

🔥製品(自動車、電気製品、燃焼機器等)に係る火災等の、事故のおそれがある場合

🔥自然発火などの化学火災
(不解明な燃焼、危険物火災など)

もちろん消防だけでは
原因を特定できない場合もあります。

鑑識物件の収去

物件を収去(集めて抜き取ること)する際は、関係者等からの承諾が必要です。

調査のために必要と認めるときは、関係者等に対し、資料の任意提出を求めることができます。

関係者が資料の提出を拒んだ場合は、

私のいた消防本部の場合ですと、
「資料提出命令書」を用いて、
提出を命じていました。

また、資料の提出の際、
関係者等から「資料提出書」を受けとり、
「資料保管書」を交付します。
(任意提出の場合で特に必要がないと認められるときは、この限りでない。)

同時に、
関係者に対し、むやみに製造物の欠陥であるかのような内容は告げず、
焼損状況より、客観的に判明した内容をもとに説明をするようにします。

説明が無いと関係者は「消防隊が収去した物件から出火した」
と思いこんでしまうので、
収去する理由を伝えるようにします。

物件採取時の注意点

機器周囲に、出火原因究明に重要な部品が落下していることがあるので、周囲に散乱している焼損物件もビニール袋に入れるなどして、採取します。

特に、車両火災では、路上に落下している場合もあります。

物件収去後の措置

鑑識実施時の関係者の立会い

鑑識を実施する際に、「製造メーカー・販売店等」の担当者から立会い説明を求める場合は、事前に必要な調査を実施し、鑑識実施の目的を明らかにしておきます。
(出火原因の特定、延焼拡大の要因等を明らかにするため)

また、不用意な言動等には注意しなければなりません。(民事紛争等防止のため)

関係機関への協力要請

必要に応じ、
製品評価技術基盤機構「NITE」へ
鑑識実施時の立会い派遣を依頼することもあります。

まとめ

火災の特性にもよりますが、鑑識をする場合は専門的な見解が必要なこともあり、対外的な機関と合同で行う場合もあります。

より正確な原因を追求し、記録としても残さなければなりません。

時間と労力を要しますが、
火災原因調査は、責任の大きな消防業務の一つなんですね🔥

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