【火災発生】低い姿勢が安全?新鮮な空気が低い位置に残っている理由。【分子量】とは?

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こんにちは。
元消防士YouTuberのKIYOYUと申します。

今回は火災発生時に、安全を考慮し、
低い姿勢で避難すべき理由を
化学的な見地から解説したいと思います。

火災のとき炎よりこわいもの

火災発生時、1番恐るべきものは「煙」です。
不完全燃焼により発生する一酸化炭素は、
血液中のヘモグロビンとくっつきやすく、煙を吸ってしまうことですぐに意識を失います。

一酸化炭素は、無色無臭で感知しづらく、
東京消防庁によれば、空気中の濃度が0.50~1%程度でも
1分から2分で呼吸ができなくなり死に至るとのことです。

火災時の避難の仕方

火災時の避難については
「新鮮な空気は天井より床の方に多く残っているから、
低い姿勢で避難をしましょう」という話をよく聞きます。

これは燃焼に伴い発生した一酸化炭素の分子量が
通常存在する空気の分子量(平均分子量)を下回っていることによります。

分子量という考え方

分子量とは、
分子式(COなど)に含まれる元素の原子量の合計のこと。

具体例を見て確認していきましょう。

分子量で考えた場合、

一酸化炭素はCOで
C=12(これは最小微粒子Cだけなので原子量)
O=16 (これは 最小微粒子Oだけなので原子量)
で合計28(これは分子式COの分子量)
という計算になります。

空気は混合物ということで、
窒素N2や酸素O2が混ざっています。

そのため
空気の場合は、原子量の合計で、
すんなり分子量を求められるということにはなりません。

空気の場合は、
均等にN2やO2が含まれているわけではないので
空気の平均分子量28.8 という数値で考えます。

また、この28.8を上回るか下回るかで、
空気より重いのか、軽いのかが決まります。

その考えでいくと
COは分子量28であり、
空気の平均分子量28.8を
下回るので「軽い」から
「天井の方にいく」
という結果になりますね。

空気の組成

空気の組成を見てみましょう!
窒素(78.08%)、
酸素(20.95%)、
アルゴン(0.93%)、
二酸化炭素(0.03%)で
構成されており、
ざっくり
空気中には窒素と酸素が
4:1の割合で存在しているのが
分かります。

窒素が約80%
酸素が約20%
ですね。

空気の平均分子量の求め方

単位を整理

窒素N2は1mol(モル)28gです。
また、
酸素 O2は1mol(モル)32gです。

1molは、ある物質を構成する原子、あるいは分子が
アボガドロ定数(6.02×10の23乗)個分、集まった量のこと。
それを1molという単位で表現します。

1molという単位で
「モル質量何グラム」というカタチに
変換できるのです。

ちなみに分子量や原子量に単位はありません。
答え方は分かれますが、

「モル質量は?」と問われると、
「g/mol」と言いますが

「質量は?」と問われると
「 g 」で答えます。

Nである窒素の原子量は14、
分子式だとN2であり14×2=28です
が、窒素分子のモル質量といえば
モル質量28グラムになります。

同様に
Oである酸素の原子量が16、
分子式だと O2であり16×2=32です
が、酸素分子のモル質量といえば
モル質量32グラムということができます。

値としては
分子量も、モル質量も
同じ値になります。

空気の平均分子量の求め方

したがって、

28(窒素)×0.80mol(80%)
+32(酸素)×0.20mol(20%)
=28.8

となります。

まとめ

繰り返しになりますが、
通常存在する「空気」は、
平均分子量の値から
一酸化炭素よりも「重い」
ことが分かります。

火災時には床面に近い方に
新鮮な空気が残っていること
が分かりましたね。

また、分子量の計算で、
他の物質の値を見てみるのも
面白いと思います。

二酸化炭素ならCO2で
12+16×2=44で重いですし、

水素なら
H=1でとても
軽い気体であることが
分かります。

調べてみると
色々な気体の重さも分かり
面白いと思います。
ぜひ他の気体にも
目を向けてみてください。

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