リチウム電池とリチウムイオン電池の違いと消火方法の違い!水消火はオッケー?

出来事

リチウム電池とリチウムイオン電池は、
いずれもリチウムを使用した電池ですが、
構造や動作原理に大きな違いがあります。
この違いが、消火方法においても重要な影響を及ぼします。

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リチウム電池とは

まず、リチウム電池とは、一次電池(使い捨て型)の一種で、
電池内部でリチウム金属を直接使用しています。
リチウム金属は非常に反応性が高く、
水と反応すると、激しい化学反応を引き起こし、
可燃性の水素ガスを発生させるため、
火災の際に水を使うと火が一層激しくなる危険があります。

そのため、リチウム電池が発火した場合は水で消火することは
絶対に避けなければなりません。
水がリチウム金属と反応すると、温度が急激に上昇し、
爆発的な火の広がりを招く恐れがあります。

消火するためには、乾燥化学消火器や
クラスD火災用の消火器(金属火災用の消火器)
が適するとされています。

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リチウムイオン電池とは

一方、リチウムイオン電池は、充電可能な二次電池(再充電型)で、
リチウム金属ではなく、リチウムの化合物である
六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)のようなリチウム塩が
電解質として広く使用されています。

リチウムイオン電池は、
リチウム金属のように水と反応することはありません。
リチウムイオンが移動することで電気が供給される仕組みであり、
内部でリチウム金属が直接反応しないため、火災時に水を使うことが可能です。
水消火を行っても、リチウムイオン電池の火災が激化することはありませんが、
完全に消火するには十分な時間と多量の水や特別な消火薬剤が必要です。

とはいえ、リチウムイオン電池でも過熱や破裂が発生することがあるため、
火災時には安全な距離を保ち、消火活動においては注意が必要です。

消火方法の化学的な違い

リチウム電池の火災時に水を使うと、
リチウム金属が水と激しく反応し、熱とともに水素ガスを発生させます。
この水素ガスは引火性が高く、火災を悪化させる原因となります。

一方、リチウムイオン電池はリチウム金属ではなくリチウム塩を使用しており、
火災時に水と反応することはありません。
リチウムイオン電池の火災には、
冷却効果がある水消火が有効であり、
電池内の温度を下げることで火災の拡大を防ぐことができます。

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まとめ

リチウム電池とリチウムイオン電池の主な違いは、
使用されているリチウムの形態とその反応性にあります。

リチウム電池は水と反応して
爆発的な火災を引き起こす危険性があるため
禁水性であり、火災時に水消火を避ける必要があります。

2024年6月24日には、
韓国京畿道華城のリチウム一次電池(リチウム電池)を製造する
アリセルの工場で、
多数の死傷者が発生する火災が発生ありました。
火災の規模が大きくなれば、
それだけ危険を伴う物質であることは
忘れてはいけませんね。

一方、リチウムイオン電池は水消火が可能であり、
火災時には冷却効果を期待できますが、
それでも火災が広がらないように注意を払う必要があります。

どちらの電池も火災が発生した場合には速やかに
適切な消火活動を行うことが重要です。

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