【消防法?建築基準法?】排煙設備の設置基準などを確認!

予防技術検定

排煙設備とは?

まずは、各法令からチェックしていこう!

設置基準をチェック

排煙設備の設置については、
消防法と建築基準法でそれぞれ定められています。

特徴として、
建築基準法が幅広い用途を規定しているのに対し、
消防法はキャバレー、百貨店の地階や無窓階などに限定されています。

また、各自治体で独自に定められている規定もあるため、
それらの条例等を合わせて目を通す必要があります。

消防法では

消防法施行令第28条第1項でうたわれています。

(排煙設備に関する基準)
第二十八条 排煙設備は、次に掲げる防火対象物又はその部分に設置するものとする。
一 別表第一(十六の二)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が千平方メートル以上のもの
二 別表第一(一)項に掲げる防火対象物の舞台部で、床面積が五百平方メートル以上のもの
三 別表第一(二)項、(四)項、(十)項及び(十三)項に掲げる防火対象物の地階又は無窓階で、床面積が千平方メートル以上のもの

まとめると、
①地下街で、延べ面積1,000㎡以上のもの
② 劇場、映画館等で、舞台部床面積500㎡以上のもの
③ キャバレー、遊技場等、百貨店等、車両の停車場等、自動車車庫等、飛行機の格納 庫等の用途で、地階又は無窓階で、床面積1,000㎡以上のもの

上記のとおりです。

建築基準法では

建築基準法施行令第126条の2でうたわれています。

(設置)
第百二十六条の二 法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物で延べ面積が五百平方メートルを超えるもの、階数が三以上で延べ面積が五百平方メートルを超える建築物(建築物の高さが三十一メートル以下の部分にある居室で、床面積百平方メートル以内ごとに、間仕切壁、天井面から五十センチメートル以上下方に突出した垂れ壁その他これらと同等以上に煙の流動を妨げる効力のあるもので不燃材料で造り、又は覆われたもの(以下「防煙壁」という。)によつて区画されたものを除く。)、第百十六条の二第一項第二号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が千平方メートルを超える建築物の居室で、その床面積が二百平方メートルを超えるもの(建築物の高さが三十一メートル以下の部分にある居室で、床面積百平方メートル以内ごとに防煙壁で区画されたものを除く。)には、排煙設備を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。

〜以下省略〜

消防法と建築基準法の目的の違い

消防法上での排煙設備は「消火活動上必要な施設」
の一つになっており、
消火活動支援が主な目的となっています。

他方で、
建築基準法上の排煙設備は、
建築基準法第35条に「避難上及び消火上支障がないようにしなければならない」
と定められており、避難安全の目的も含みます。

 

排煙方式の種類

排煙方式の種類については、
以下の3種類があります。

「自然排煙方式」

建物内の天井付近の側面に
設けた窓を開放し
煙を排出する。

「機械排煙方式」

屋上などに設ける排煙機によるなど、
機械を使って煙を強制的に排出する。

「加圧防排煙方式」

給気機により空間を加圧し、他の部分から煙の侵入を防止する。
特別避難階段の付室や非常用エレベーターの乗降ロビーなど
消防活動拠点となり得る場所で機能する。
機械排煙方式と比較すると、ダクトスペースを小さくできるなどのメリットがある。

代わりにOK!加圧防排煙方式の誕生

排煙方式は「機械排煙」と「自然排煙」
の2種類が主に想定されています。

この2種類の代替方式として、
新たに「加圧防排煙」の方式が
採用されることになりました。

その際、加圧防排煙設備を設けることができる
防火対象物の用途・構造、必要な区画及び
消火設備などの事項が定められました。
(平成21年総務省令第88号 )

具体的には、
・百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗又は展示場の地階又は無窓階で、 床面積が1,000㎡以上のもの
・ 自動車車庫または駐車場 (機械式を除く)の地階又は無窓階で、床面積が1,000㎡ 以上のもの
・ 主要構造部が耐火構造であるもの
・ 竪穴が防火区画されているもの
・スプリンクラー設備等の自動消火設備が適法に設置されているもの
などです。

加圧防排煙設備の工事は消防設備士が行うか?

加圧防排煙設備は
「排煙設備」に代えて用いることができる
消防用設備等です。
(消防法施行令第29条の4)

しかしながら
排煙設備そのものは、
消防設備士でなければ行ってはならない工事又は整備
(消防法施行令第36条の2)に該当しません。

そのため、消防設備士の行う工事とはならず、
消防設備士の着工届出義務(消防法法第17条の14)
にも該当しません。

 

排煙設備とはどんなもの?

「排煙設備」とは火災による煙やガスを
屋外に排出するための機械設備
ことです。

排煙設備の役割

排煙設備は、火災時の初期からフラッシュオーバーにかけての
火災の拡大を遅らせると同時に、共用部などの避難経路を
煙やガスで充満させてしまうことを防ぐ
役割があります。

なおフラッシュオーバーとは火災室内の局所的な火災が、
ごく短時間に、部屋全域に拡大する現象のことです。

排煙口とは?

排煙口とは、言葉どおり、
建物内の天井などに設けられている
煙の逃げ道のことです。

排煙口より吸い込まれた煙は、
ダクト(煙等を屋外に導くための風道)、
排煙ダンパーを通り屋外に排出されます。

ダンパーについて

ダンパーとはそもそもどういう意味

「ダンパー」とは、
空調、換気用ダクトの途中に設けられる弁のことを言います。
空気流量制御弁や開閉装置とも呼ばれます。

ダンパーは「羽根」と表現されることもあり
単翼・複翼などの仕様があります。

排煙ダンパーとは?

建物の排煙システムに組み込まれる重要な部品の一つで、
ダクトに付けられるダンパーのことです。

通常時は閉じており、
火災発生時などの非常時に開きます。

機械排煙方式により、
屋上などに設けられた排煙機より
強制的に各フロアの煙を逃します。

その際この排煙ダンパーが開き、
煙の逃げ道をつくります。

手動開放装置(ボタンなど)
または煙感知器との連動や、
遠隔操作により瞬時に開放するダンパーとなっています。
(建築基準法施行令第126条の3)
以下が、その内容です。

〜前略〜
四 排煙口には、手動開放装置を設けること。
五 前号の手動開放装置のうち手で操作する部分は、壁に設ける場合においては床面から八十センチメートル以上一・五メートル以下の高さの位置に、天井から吊

り下げて設ける場合においては床面からおおむね一・八メートルの高さの位置に設け、かつ、見やすい方法でその使用方法を表示すること。
六 排煙口には、第四号の手動開放装置若しくは煙感知器と連動する自動開放装置又は遠隔操作方式による開放装置により開放された場合を除き閉鎖状態を保持し、かつ、開放時に排煙に伴い生ずる気流により閉鎖されるおそれのない構造の戸その他これに類するものを設けること。

点検時は、
ダンパーが天井裏で動くため、
耳を澄ませて動作音を聞き
確認することもあります。

「ウィーン・・・。パタン。」
といった音です。

排煙設備の手動起動装置が壁に
あった場合、大体近くの天井に排煙口が
ありますが、
「あれ?排煙口が見つからない!」
となったときには
天井裏に排煙ダンパーがある場合も
あるということです。

防火ダンパーとは?

火災発生時、
温度ヒューズまたは煙や熱感知器等との連動により、
ダクトを閉じることで、延焼を防ぐ目的で設置されます。

建物内の防火区画をダクトが貫通する場合は、
防火ダンパーを設置することになっています。
(昭和48年建設省告示2565号「防火区画を貫通する風道に設ける防火設備構造方法を定める件」)

火災の進展に伴い、火炎がダクト内に流入し、
ダクト内を伝って延焼拡大するおそれがあります。
そのような場合に、ダクト内に防火ダンパーを設け火炎を遮断します。

防火ダンパーと排煙ダンパーの動きの違い

上記のとおり、

防火ダンパーは火災発生時、「閉じる」
ことで火災による炎の侵入を防ぎます。
対して、
排煙ダンパーは火災発生時に「開く」
ことで、煙を屋外に逃します。

同じダンパーという言葉を使っていますが、
起動時の動きは真逆なので注意しましょう。

消火活動拠点における注意点

消防法において、
「消火活動拠点に設ける排煙口又は給気口に接続する風道には、
自動閉鎖装置を設けたダンパーを設置しないこと」とうたわれております。
(消防法施行規則第30条)

こちらは風道にダンパを設ける場合において、
排煙機の機能を確保するために規定されています。

消火活動拠点については、
自動閉鎖装置を設けたダンパーを設置してはいけないので注意しましょう。

こちらは、消防設備士甲種特類の試験でも問われる内容です。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。排煙設備は内容が奥深いので
単純に設置基準だけを知っていればいいという
わけではありませんね。

法の内容と、機能や構造についてしっかり
理解するようにしましょう。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました