こんにちは。元消防士のKIYOYUと申します。
今回は消防士だけの話ではなく、
すべての公務員に関係のある
「処分」について触れていきます。
公務員が不祥事を起こした場合、
どのような処分が下されるのか実例に触れながら確認しましょう。
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佐賀県初の免職事案
佐賀県は2024年に、50代の男性職員2人に能力が不足していることを理由に民間でいう
「解雇」相当の分限免職処分を下しました。
佐賀県がこの理由で正規職員を免職するのは初めてのことだそうです。
背景にあるのは、各地の自治体で進む成果主義の導入がある模様です。
公務員と言えば安定した職業とされていましたが、時代の変化により、
これまでように安心して勤務し続けることは難しくなっているようです。
処分については、2024年2月29日付であり、
事務作業で同じミスを繰り返すことや、上司の指示に従わない、
通常なら1週間ほどで完了する積算などの業務に3カ月以上をかけていたなどの問題があり、
業務に支障をきたしていたとのことです。
若年層にも広がるハラスメントの動き。成田市消防本部の事例から考える。
公務員の処分について
処分には、職務上の義務違反や不適切な行為に対して行われるものがあります。
主なものとして以下のような種類があります。
処分の種類
1. 懲戒処分(重い処分)
職務上の義務違反や非行があった場合に科される処分で、以下の4つの種類があります。
2. 訓告・注意(比較的軽い処分)
懲戒処分には至らないが、不適切な行為があった場合に科される指導的な処分。
3. 分限処分(職務遂行能力に関する処分)
職務を適切に遂行できない場合(心身の故障や勤務成績不良など)に科される処分。
4. 刑事処分・民事責任
公務員が犯罪行為を行った場合、刑法などに基づき刑事処分(懲役・罰金など)を受ける可能性があります。
公務員の不法行為により損害が発生した場合、国家賠償責任が発生し、場合によっては個人に対して賠償請求されることもあります。
処分の種類は、国家公務員法や地方公務員法に基づき決定され、それぞれの機関が手続きを進めることになります。
前述した佐賀県の例だと、上記の3番内の免職に該当します。
根拠法令
公務員の処分に関する規定は、主に地方公務員法(地方公務員に適用)や
国家公務員法(国家公務員に適用)に基づいています。
以下で地方公務員法の内容を参考に確認していきたいと
思います。
地方公務員法
地方公務員の処分について定めた
主な条文は以下の通りです。
1. 懲戒処分の根拠(地方公務員法 第29条)
地方公務員法 第29条(懲戒)
職員が次の各号のいずれかに該当する場合には、任命権者は、懲戒処分として、免職、停職、降給又は戒告を行うことができる。
1.勤務実績が良くない場合
2.職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合
3.全体の奉仕者たるにふさわしくない非行があった場合
2. 分限処分の根拠(地方公務員法 第28条)
地方公務員法 第28条(分限処分)
任命権者は、職員について、次の各号のいずれかに該当する場合には、
分限処分として、免職、降任、休職又は降給を行うことができる。
1.勤務実績が良くない場合
2.心身の故障により職務遂行が困難な場合
3.官公庁の機関の改廃や定員削減などで職がなくなった場合
4.その他、職務を適正に遂行できない場合
3. 服務規律の義務(地方公務員法 第30条~第35条)
地方公務員は以下の義務を守る必要があり、違反した場合に懲戒処分の対象になります。
•服務の宣誓(第31条)
•法令等及び上司の職務上の命令に従う義務(第32条)
•信用失墜行為の禁止(第33条)
•秘密を守る義務(第34条)
•職務専念の義務(第35条)
4. 懲戒手続き(地方公務員法 第55条)
地方公務員法 第55条では、懲戒処分の手続きについて定めています。
•懲戒処分を行う際は適正な手続きを経る必要がある
•公平委員会の関与が必要な場合がある(地方自治体ごとに異なる)
公務員の処分に関する具体的な根拠は、
地方公務員法(特に第28条・第29条)が主となります。
まとめ
いかがだったでしょうか?
公務員は民間と異なり、処分もたくさんの種類があるんですね。
たとえ不祥事を起こしても
クビにはならない場合もあるのが
今までの考えでしたが、
佐賀県の分限の事案は
非常に珍しいものだったと言えます。
ぜひ参考にしてみてください。
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